スペインの桜のお花見

Sbunaka2005-04-09

 先週の土曜日、私達は桜のお花見に行って来ました。 桜の向こうに見える人と比較して下さい。巨木ぶりが分かるでしょう。
(写真は、谷底を走る道路から撮ったものです。雲がかかって生憎でしたが、頂上まで桜の段々畑が続いています。)
スペインの人も桜の花見をするのだということを認識いたしました。しかし、勿論、日本の花見とはいろいろと異なっています。美しいものを愛でる心はまったく同じですが。
場所はValle de Jerte という、山の中にある谷間です。桜の名所として大変有名で、マドリッドあたりからも、泊まりがけで見に来る人も多いようです。桜はサクランボウを取るための桜で、日本の桜見用の桜とは違って、やや白っぽい花をびっしりとつけて咲いていました。この谷間は、底の川に沿ってある道路を、自動車で小1時間走ってもまだまだ続いて終わらないという長いものですが、その両側の山裾から頂上にかけた全体に、約100万本といわれているサクランボウの段々畑が作られているのです。もうこうなると、一本一本の木や、日本流の桜並木というものが目にはいるというよりも、山全体の桜が、ドッと目に入って美しく圧倒してきます。八重の桜で、古木も多く、写真の巨木のように、1人が一本を一日手で摘んでも摘みきれないほどの多くのサクランボウをつけるそうです。この時期、連休ですので、花見に家族連れで沢山の人が来ていましたが、筵をひいて酒を酌み交わすという日本式の風景はなく、花見の散策を時間をかけてゆっくりと歩いてから、数少ない川縁の集落にある鄙びたレストランに入って2時間余りのゆっくりとした昼食を取って帰る、というような花見だと思ってください。
この地方はスペインのサクランボウの生産量の5割を産出しているそうです。スペイン各地に多い地形ですが、川縁を走って山の桜を見ているときは山脈が見えるだけで、村があるとは思えないのですが、長い曲がりくねったサクランボウの畑の急な登り道を、20分ほど車で上ると、この谷間の山の頂上に、人口200から500ほどの幾つかの集落・村がありました。主要な幹線道路もこの頂上の台地を走っているということの方が多いようです。セマナ・サンタの祭日ということで、小さな中央広場に、日本の小さな村の祭りに商品を持ってやってくる「寅さん」のような人たちの祭りの市が立って、大変賑わっていました。わたしたちは、この村の1軒の知り合いの家を訪ねましたが、私達をこの桜見に連れて行ってくれた友人の大学生の息子の友達の家だそうです。サクランボウの季節になると、収穫の手伝いをさせてもらいに行くのだそうで、友人夫婦は1日手伝って、近くのホテルに泊まり、散策をして帰るのが楽しみだといっていました。また、今年の収穫時には私たちも手伝わせてもらうという事を約束してもらって帰りました。仕事は果物を傷つけないように、全部2本の指で摘んでいくのだそうで、重労働だということでした。