スペイン伝統料理 尼僧の嘆き

  尼僧の嘆き ススピロス デ モンハ suspiros de monja

材料

白パンを粉々にしたもの。
卵3個
牛乳1リットル 砂糖大さじ5杯
揚げ物用のオリーブ油
シナモン

作り方
卵を撹拌しながら、パンの崩したものを、クリーム状になるまで加えていく。

熱した油に、大きなスプーンでそれを掬い、卵型の形で揚げていく。

牛乳を火にかけてレモンの皮のおろしたものと砂糖を入れ、

少々煮てから、先に揚げたものを入れ、数分煮てから、引き上げ、

冷ましてからシナモンを振りかける。

(私の味見所見)
「尼僧の嘆き」という名前に先ず惹かれます。何故尼僧の嘆きなんでしょうか?牛乳にパン屑を入れてグジャグジャにしたものを「猫の餌」と言うそうですが、昔、貧しかった頃、お乳のでない母親は、赤ちゃんにこの「猫の餌」と呼ばれるものを食べさせたという話です。このお菓子は、基本的にその猫の餌を連想させるものですので、そういうことと関係があるのでしょう。親のない子の世話をした尼僧が、こうしたもので赤ちゃんを育てたのかもしれません。そんなことを連想します。食べておいしいかどうかは、私には何とも言えません。つまり、昔、子供の頃に母親が苦労して作ってくれたこうした殆どお金のいらないお菓子を食べて育った人は、これを何よりも懐かしくおいしいと思うだろうということでしょう。先日、臓物料理Chanfainaを作って、当地のお客さんと一緒に食べました。彫刻を作って売っているお店のご夫婦がいらしたのですが、この今では豊かな人の昔話が出て、昔は本当にみんな貧乏で、Pollo若鶏などクリスマスのような特別の時でなかったら、食べたことはなかった。精々gallo雄鳥、 gallina、つまり大人の卵を産まなくなった雌鳥とか、お役に立たない雄鳥を稀に食べることがあるくらいだった。だから、臓物料理や、豚の脂とジャガイモの練りジャガイモ等、本当にご馳走だったし、いまでもおいしいご馳走だと思って食べている、という話でした。その昔というのは、1960年代のことです。私の家族の日本に於ける1950年代というのは、漸くお米が常食として食べられるようになったかどうか、というような年代だったと思います。その当時だったとしたら、こうした料理を稀であっても食べられた人たちを私はずいぶんと羨んだことでしょう。