パエージャ

6人前パエージャ

 昨日のdomingoの散歩について記録しておこう。私たちはほぼ同じ年齢層の3ペアーの夫婦であるが、毎日曜の夕方、欠かさず一緒に散歩をし、帰りにバールで軽くタパスをつまんで一杯しながら、おしゃべりを楽しんでいる。Iさん夫婦とYさん夫婦である。Salamancaの市民は、皆このような親しい友人を持っていて、これが夕方から夜にかけて一斉に揃って散策に出かけ、バールに入って、或いは時にレストランに入って、おしゃべりを楽しむのである。これがあって、始めて翌週の労働が始められるかのようだ。
Salamanca旧市内には、沢山のレストランやバールがあるが、余り満足できるような食事を出してくれるような店がないように思えていた。私がスペイン生活についてよく質問するJorgeさんにそういうと、そんなことはないが、市内を少し離れたところに非常によい店があるといって、SalamancaではTamames、Vecinosという2軒をあげた。伝統料理Cocina tradicionalの店だと言っていた。LeonにはCostillo de los Polvazares , Burgosでは Arauda de Duero というのがよい、といっていた。私はそのいずれも知らない。そこまで行かなくても、私たち3人組でLedesma村に行ったとき入ったレストランは、本当に最高の店であった。値段もmenu del dia日替わりコース並で、料理の腕の確かさとサービスの上品さは、私たちを感激させたものであった。Jorgeさんもそれには賛成していた。
 昨日の3人組のPasear de Domingoは、昼のcomidaをCala Fornellsに食べに行こう、というものだった。「今日から、冬時間だ」といって、いつもより1時間遅く私どもの玄関まで集合し、北の方向の町はずれまで40分ほど歩いて、余り入りたいとは思えない、どちらかというと薄汚い店の入口をはいると、中は一見して良い服装を着込んだ多くのお客が入り混んでいて、しかもかなりの広さであった。 この街ではいつも入り口の外観で入る店を決めてはならない事を思い知らされる。
 この店の主人は実は、不二家スペイン料理店のチェーンのコックを教育する講師として、日本を何度か訪れ、日本人の女性と結婚しているのだという。 3組のうちの一組Yさん夫婦の知己であり、そうしたこともあって、この店を訪れることになったようだった。予約席にはいると、このご主人が現れて、迎えの挨拶をしてくれた。来てみると、この店はSegundaはPaellaパエジャだけのメニュウで、いろいろなpaellaを出す専門レストランであった。 Iさんはカタツムリcaracolesと兎のpaellaをとり、私たちはValencia風のpaella、つまり一番無難なpaellaを注文し、Yさんは名前を忘れたが肉の多いpaella、IさんとYさんの奥さんはマリスコのpaellaというようにそれぞれ頼んだ。前菜primeroにはトマトとbacaleoのensalada、ホタルイカの揚げ物などをとった。このprimeroが実に好評で、みんなそれぞれの家庭で真似して作ろうと話し合った。私も料理修行中の身とあって、このサラダなら作れそうだと思った。トマトを主に、タマネギの薄切りやちょっとした野菜の薄切りに、白身の魚バカレオの一度塩をしてから塩抜きしたもののやはり薄切りを混ぜて、たっぷりのオリーブ油をかけてあるというサラダである。メニュウには使用しているオリーブ油の酸性度など、品質が表示してあった。オリーブ油には、香水が入れてあるかとも思ってしまうクリスタルの瓶に入っている超高級品の超お値段という代物から、料理にはこれをというプラスチック大瓶入りの超お買い得まで実にいろいろであるが、この超高級品は、一度だけ、イギリスはロンドンの、確かオックスフォード・ストリートかどこかだったと思うが、嗜好食品専門店でだけみたことがある。そこには葡萄酒の品揃えぐらいに豊富な種類のオリーブ油の陳列棚があった。しかし、こんなブランドものを食べたことは無論ない。だが、この超高級品に匹敵するかどうかは確かめようもないが、フィレンツエの友人宅の家庭菜園で収穫したという特別製バージンを、トーストだけで他に一切なしの夕食でいただいたことがあって、その素晴らしさにビックリしたことがあった。(招待されたディナーは、昼間の2時に済んでいた。念のため。)
余談に飛びすぎたが、パエージャも今までのレストランの中では一番見事なものだった。米の料理に伝統的な嗜好を持つ日本人が、合格点をあげられる米料理は、スペインには正直言ってなかなかない。勿論、スペインには米料理は伝統料理の中にもいろいろあるから、それはそれで、スペイン料理として満足することは出来る。しかし、そうしたことになれない日本からのお客さんを連れて行く、「有名なパエジャ」の店がなかなかなかった。今度からここに連れてこようと思ったが、問題は気軽には払えない価格である。Iさんの家でご馳走になった夫婦手作りのパエージャとどちらがおいしかっただろうと言う話になったが、Iさんのところかも---ということになりかけ、大いに彼らは気をよくした。パエージャの写真を撮ってきたので、紹介しておこう。写真は6人前のパエージャ鍋の各区画にそれぞれの注文の材料を入れて料理してある。この鍋から各人が皿に取る。一つだけだけ余り聞いたことのないカタツムリと兎のパエージャの写真も添えておこう。カタツムリは、春先、私の庭の土中に隠れていたものと同じではないか、と想像している。海の巻き貝ほどの固い殻を持った、マリスコの範疇に入れられているものである。フランス料理に出てくるものより、平均して少し小さいのではないかと思う。
 店の名前は Cala Fornelles,  dirrecion: comandante Jerez, 20 37008 Salamanca
Tel 923 19 10 77 cocina Mallorquina、 especialidad en Arrozes- Paellas para llevar, comedor privadoとある。 マジョルカ料理で、パエヤ専門とあった。この住所は、サラマンカ市を少しはずれた旧テハード村だそうである。昔は屋根瓦を作っていた村だったそうな。勿論サラマンカ県内である。