再び、カステラについて

料理講習の1場面。

正直に言って、スペイン語の会話をする機会を求めて参加した料理教室でしたが、早速、昨日は、私ともう1人の男性が料理教室で先生の助手の当番に当たり、2時間、前に出て、料理を作りました。大変楽しむことが出来ました。私のスペイン語がかなり怪しいことは全員知っていますので、全員注目は私に注がれ、例えば、どの布巾を使って皿を拭くのか、「これでいいの?」と皆を見ると26人全員がすかさず「si」と頷きますし、作業中「もっと小麦粉を入れる?」と小さな声で隣の男にきくと、全員「si」と大きな声でいってくれるという具合で、2時間の注目の中、私はラード、リキュール、砂
糖、、重曹、桂皮の粉を次々と加えてこね回し、小麦粉を少しずつ入れながらこね回して、パン種のような状態にして、形を作り、卵の白身に漬け、砂糖をまぶし、ナッツを載せて、オーブンに入れて20分ぐらい焼き上げ、ビスケットの一種を作りました。これは街では1っこいくらという形で売っているもので、まともなお茶の時の菓子であるようでした。菓子の名前は、ペルニーヤスPerrunillasといいます。日本人なら見て誰でもビスケットとか、クッキーというでしょうが、日本語ではどういうのか、辞書にはありません。ビスケットを逆引きしますと、ガジェタGalletaとありますから、ビスケットとは違うのかもしれません。ついでにビスケットという言葉は、英語から入ってきたのだろうと思いますが、米語では甘いクッキーとしよっぱいクラッカーの両方を含むものらしく、英語では甘い小さな柔らかい菓子パンを指すようです。ビスケットというのも日本語だと考えていた方が良さそうです。ここで作ったビスケットは大量のラードの固まりの中に上記のものを加えて練り上げていくのにはちょっと驚きました。ものすごカロリーになるはずです。もう1人はジャガイモの揚げ団子とでもいう様な料理を作りました。終わって全員試食、大満足の一日でした。
 さて、前回ここで、カステラについて講師の方に質問したことを書きました。レシピまで知っておられたので、同じような物をスペインでは何というのか、と質問しましたところ、見たことも食べたこともないから分からない、といわれました。なるほど、私どもが知っているつもりの書物からの知識とはこういうものなんだ、と私は妙に感心したものです。昨日、この方は、私に数枚のコピーを持ってきてくれました。カステラについて書いてありました。単なる知識に満足しない熱心な先生で、これまた感心しました。
 そこには、bizcocho Castilla en Japon日本のビスコチョ(スポンジケーキ)カスティーヤとあり、その歴史が書いてありました。
 「ビスコーチョの起源はスペインだが、何時始まったのかわからない。イエスキリスト前3世紀頃、ローマ人がイベリア半島を支配していた時期だと言われている。スペインは小麦と蜂蜜が豊富な国なので、ビスコチョを作るには適した国であった。
 1571年、大航海の時代、3本マストのポルトガルの帆船が日本の南にある長崎の港に到達した。長崎湾の近くに、サンタマリア教会があり、布教のためにやってきていた伝道師達が居た。この都市に砂糖と卵が一杯入ったスポンジケーキビスコーチョ)がもたらされた。日本人はこれを昔の古い王国の名前である「カステーリヤ」の名前からとって「カステラ」とよんだ。」
 すなわち、もともとはその起源はスペインのスポンジケーキにあるようだが、カステラというのは日本のお菓子だと考えた方がよいようです。スペインのスポンジケーキは大変汁っぽくて、圧すと汁が滲みそうな感じのものですから、日本人には馴染みにくい感じではないかと思います。私には、日本のカステラのフワフワ感は、ビスコーチョよりも、もっと甘く黄色くしたボジョbolloという感じのように思いました。この本には、漢字で書かれた古い日本のカステラのレシピの写真がありました。