長島ジャパンの活躍について

上野さん撮影民家園

*オリンピック野球チームの活躍を見て思うこと
まず、選手たちご苦労さまでした。日本選手の真剣ながんばりを見て、誇らしかったし、楽しかったです。しかし、こうした経験を今年初めて見せてくれて考えることもありました。、以下、それについて書いた私の日記を転載させていただきます。
 今年の日本の野球のチームは、全員アマチュアを除くプロリーグから選出された点で、あらゆるスポーツ界を通じて、日本では初めての経験だ、といえそうだ。そのせいかどうか知らないが、代表選手たちは「日の丸のために」「日本国民の絶対的代表」という意識が過剰にまであったし、最初から「金以外は目標ではない」と自己宣言し、周囲もそう期待していたようであった。しかし、そこにはやや幾つかの理解困難な無理も感じられた。今後、世界のオリンピックに野球ゲームを入れ、野球のワールドカップとともに野球オリンピックをするとすれば、幾つかの満たすべき世界標準をクリアーしなければならない問題がある、と私には思われた。
その1.なぜ「日本代表」ではなく「長島ジャパン」なのか? 公共放送を初め全関係者がチームを、「長島ジャパン」とよんで、日本代表チームとは言わなかった。そこには代表選考の問題が絡んでいたからだろうか?代表選考の方法は奇妙なことに特定のルールに基づいたものではなく、長島氏に選考を委嘱した形で、各チームから2人づつを出してもらうと言うことになり、長島氏の頼みをきく形で各チームから2名を提供し、ピッチャーの必要人数をまず確保することを優先しつつ、必要最低数を確保したと言って良いようだ。なるほど、長島氏無しにはこうしたチームを作ることは難しかったのだろう。あるいは巨人経営者の承認と後ろ盾無しには、各チームはウンと言えなかったのではないか、と想像する。選考方法の蚊帳の外にいる選手にはこうした事情は関係ない。選手個人は「長島ジャパン」に選考された代表なのだから頑張ろう、となることは全く理解できる。あらかじめ定まったルールに基づいて、自らの力で勝ち取った代表の座ではなく、プロだから言うまでもなくこれ以上にない最高のドリームチームだという「威信」に基づいて「選ばれたチーム」だから、そうした「責任」を負わされて、さぞやしんどかったことだろう。もしプロを含んで代表が選考されるのなら、サッカーの世界並に、4年間の代表チームの国際親善試合と、チームとしての訓練を通して、国民の信頼と代表監督の目を通しての、国民の納得のいく選考によって、選手は代表の座を勝ち取っていくのだという方式でチームが編成されるなら、「長島ジャパン」などという不可思議なチームを作る必要はなかったろう。これはサッカーと異なり、野球界が国民のものになっていない部分を残していることの証明でもある。それだけではない、野球はまだ世界のスポーツとしても解決しなくてはならない問題を持つことをはしなくも示したのではないか。
2 詳しい事情は知らないが、なにやらワールドカップをやろうということがアメリカ大リーグで企画されているようだ。これは世界のプロリーグの優勝チーム間の決戦と言うことなのだろうが、大いに結構ではないかと思う。しかし、現状に於いては、リーグの優勝チーム間のワールドカップなら、戦わずして優勝はどこだと言うことは明白である。丁度イラクアメリカの戦争みたいなものだ。現代の先端兵器は一方によって絶対的に独占され、一方的に正義のルールが決められていて、他方は市街戦で鉄砲だけで戦い、野蛮なテロリストだというレッテルを貼られて戦うみたいなものだから、もし抵抗が長引けば、それだけ、「ほう奴らも抵抗するじゃないか」と楽しむだけである。勿論、楽しむ国が誰かは最初から分かっている。それだから、現状のもとでは、野球フアンがもっと喜ぶのは、オリンピックであろう。しかし誰でも分かるように、国代表の決戦と言うことになると、日本代表にはイチローや、松井秀喜松井稼頭央、野茂、石井、高津などが日本チーム代表として帰ってくるだろう。プエルトリコ、ドミニカ、キューバ、メキシコ、台湾、韓国、オーストラリア、カナダなどの選手も、アメリカ代表ではない。みんなそれぞれの国に帰ってチームの代表となり、戦うことになるだろう。こうなると野球は世界のスポーツとして、レベルの高いスポーツ「世界社会」のものであることが初めて視覚的に証明されるに違いない。バスケットも、このスポーツが各国で盛んになればなるほど、オリンピックに参加してみれば、現代兵器を独占している国のような、圧倒的に、いつも無傷で勝ち捲る大国などはありえないということが分かるだろうし、そうなったときに、バスケットというスポーツを通してコミュニケートする「世界社会」の存在証明にもつながっていくにちがいない。しかし、そういう方向を野球にも期待したときに、その道への重大な障碍となっているものがあることを、世界のフアンは知っている。それは大リーグの経営者たちの考えと行動である。サッカーのように、本当にワールドカップであり、オリンピックであるような世界大会で競うスポーツになってこそ、野球も世界スポーツだということになろう。「長島ジャパン」ではなく、日本代表チームが戦えることになろう。サッカーの日本リーグ代表となる優勝チームが、プロチームの世界大会で、接戦を演じて大金を稼ぐことが出来るようになると、日本のプロの資本力も世界的ということになるだろう。しかし、そちらはさしあたってどうでも良い。夢中になれる贔屓のチームは、やはり我が故郷、日本の代表だ。
 ともかく、オリンピックで一生懸命戦う試合を見せてもらい、残念ながらオーストラリアに負けてしまったけれども、オーストラリアだってプロで固めてきたのだから、そんなに滅入ることはないでしょう。この次は、もし、上記のようなオリンピック代表選考方式ではなく、今年と同様、大リーグ選手抜きの大会で、しかも、日本のプロがチーム力を上げることを中心に選手を選考できれば、日本が勝てるのではないでしょうか。キューバに勝てたじゃないですか。大変楽しませてくれて、選手たちの健闘に大いに拍手を送りたいと思います。ありがとう!!