文赤千兵衛の日記 御挨拶

サラマンカ大学正門

*文赤千兵衛からの簡単な御挨拶
今年は10月から1年間、定年後の生活をSpainで送ることになっています。仕事もなし、金も年金だけが頼りで余分はなし、目的も無しで、Spain滞在はいわば偶然の所産ということですので、これから人生をどう生きるか、内心の本当のところでは、非常に不安で孤独です。今のところ、本を読んだり、健康のために1万歩を目標にしながら7000歩を歩くのがやっとであったり、誰かに読んでもらいたいと切に願いながら日記を書いたりして暮らしています。7月からしばらくの間、日本に帰ってきて、此処1年以上離れていた日本で、欠落した情報を補ったり、留守の間にいたんだ住宅の修理、肉体のオーバーホールの医者通いなど、忙しくしています。今日まとめて読んでみた朝日新聞の連載記事「うつろうー100年目の大衆社会」によると、どうもこれから続々と定年に入る「団塊の世代」に典型的なタイプと似ているようです。
 私は、定年退職後、この目で外国の社会・文化に触れてみたいというかねてからの願望を実現しようとして、ここ数年、外国に滞在旅行してきました。1ヶ月から3ヶ月をアパートメントホテルというような形式の宿に泊まったり、夏期休暇中の教育機関の宿泊施設や学生寮などを利用したりして旅行してきました。昨年来からの偶然の事情ー例えば、スペイン語圏に住む子供に孫が生まれるというような事情から、思いもかけずスペイン語圏に旅をするようになってしまいましたが、スペイン語は全く学んだことがなかったので、スペイン語の勉強などをせざるを得ないことになって、英語圏を旅している時とやや異なり、現在、酷く孤独を味わうことになっています。文字を通してさえもまだコミュニケーションはとれないまま悩んでいるという経験は切ないものです。そうした情けなさへの拘りから脱却できず、もう1年彼の地で暮らしてみようかと思っています。しかし、どうしたら言語を習得できる様になれるのか、まだ分かっていません。模索しながら、ともかくスペインやその他の国民や民族、日本を比較して知っていきたいという興味だけで、今年を過ごすことになるでしょう。私自身の勉強の励みのために、日常の中で学ぶ易しいサバイバル・スペイン語会話の勉強の成果を記録して行くコーナーや、新聞記事などの紹介なども書いてみたいと思います。スペイン語を指導して下さる方がおられましたら、修正なり指導をいただければ幸いです。
 *{スペインーサラマンカ}という、世界遺産に指定を受けることが出来た地方都市にいます。あまり、観光旅行案内には余り役立つ記事は書けないでしょうが、逆に観光旅行している人が体験していることとは異なった面も観光への関心から読んでくださる方には見えることもあるかもしれません。例えば、観光者が体験なさるスペインのレストランやバーの物価感覚は、Salamancaのような安心できる歴史都市でも、観光客物価と住民の物価とはかなりの差があったりしています。簡単な日替わりメニュウやバーのつまみタパスも、ところにより観光客用の椅子席に座ると2倍以上になるでしょうし、床屋さんの値段もまず2倍になっているでしょう。そんな場合でも日本の物価に換算してお客さんは「キャー安い」とか「リーゾナブルー」とか感動してくれますから、何ら問題は起こりませんが---。稀ですが、釣り銭詐欺などというのも可愛い女性がしたりしますので、男の人は注意した方がよい場所もあります。なお一層の中流化が進行している最近のスペインの物価は、どんどん上がっていると言われていますが---。また、決していけない交通手段のないところ、行けども行けども荒野でしかなく、黒豚がドングリの生える荒れ野に放牧されているだけの田舎(実はラティフンデューム型の内陸部農業地帯の80%ぐらいの土地がそうした位置にある)を経験することは、急ぎの方には不可能でしょう。
 幾つかの英語圏スペイン語圏の国民や民族の生活・社会・文化について、乏しいながら出来るだけ情報を得ながら日本のことを考えてみる、というグローバル時代の放浪日本老人の日記とでも言えましょうか、これから皆様に読んでいただき、出来たら一緒に交流しながら、人生をenjoyしていただきたいと願っています。